日常のあらゆる空間に添えられる植物。札幌を拠点に、植物で斬新な演出を施しているのは、“botanical garden NUE”として活動している、植物作家・川島光喜さんです。
川島さんが扱う植物は、花や葉、枝、流木、苔、食虫植物など多種多彩。作品を観て感じるのは、繊細ながら滲み出る力強さと、感性を刺激する “かっこよさ” です。
【植物の固定概念を壊して、新しいものを】
川島さんが花業界に入ったのは約10年前の23歳の時。初めからいずれは勉強して独立したいと思っていたそう。
「元々、周りとは違うことがしたいと思っていました。そんな中、東京の植物作家さんの作品を観て刺激を受けました。サボテンをカットして、切り口に違うサボテンをくっつけたり、ウチワサボテンに穴を開けて時計にしたり…。その表現が衝撃的で印象に残っています。世の中には、植物を使って周りとは違うことをしている人がたくさんいる。それを知ったのと同時に、凄くかっこいいなと感じました」。
「“花”と聞くと、みんな元々持っているイメージがあります。例えば、水に生けた花。鑑賞した後、枯れたからといって捨ててしまうのは勿体ない。ドライフラワーとして飾ればまた楽しみが増えます。花ってなんとなく手が出せない、または興味がない人もいると思います。植物に対してみんなが持っているような固定概念を壊して、自分の作品を通じて見たことのないものを見せていきたいです」。
【つぼみからドライフラワーまで、植物を見つめる楽しさ】
川島さんが手掛ける作品は、贈り物の花束をはじめ、飲食店、美容室などの店舗ディスプレイ、ドライフラワードーム、花本来の色合いが出るよう作られた押花など、それぞれが自然体で美しい色彩を放つ多彩なものばかり。
植物のどんなところが好きですか?と尋ねると、笑顔で「全部」と答えてくれました。
「植物で春夏秋冬を感じとれるし、それぞれの色も良い。枯れてもつぼみのままでも良いし、自分で育てることもできる」。
「切り花は根をカットしているので寿命が決まっていますが、枯れてゆくまでの姿を楽しむのも良いし、枯れた後にドライフラワ―として飾るとか、そこに新しい花を生けても良い。枯れて終わりじゃなくて、じゃあ次は何を生けようかなと、その都度考える面白さがあります。その良さをどれだけ伝えられるかが、植物作家として大切だと思っています」。
【“NUE”として、日常に植物を添えてゆく】
仕事をしていてやりがいを感じることが多いという川島さん。
「製作を完全に任せて貰って、できたものが凄く良かったからまたお願いしますとか、イベント出店の時にご一緒した店舗の方が、うちの店にも作品置いてよと言ってくれたり。自分のやりたい方向へ近づけているのが、大きな喜びです。」
以前取材させていただいた、札幌すすきのにあるビアバー「PLANK」店主の野口琢二郎さんも、川島さんの友人でファンのひとり。PLANKの店内植物は川島さんが施しています。取材当日も、PLANKにスモークツリーが飾られました。
ダイナミックな形状とみずみずしい色の葉。PLANKの空間に合った素敵な装飾となっています。
今までに男性ファッション誌や、住宅&インテリアマガジンでも紹介された“botanical garden NUE.”
「今後も植物で、色々なジャンルに関わっていきたい。今以上に完全に製作を任せて貰って、NUEが作ったから良いと思ってもらえるように、もっとブランド化していきたいです。」
取材中、終始キラキラした表情で植物の話をしてくれた川島さん。「植物は凄く愛おしいですよ」とにっこり話してくれたのが印象的でした。
作品が人の心を惹きつけるのは、愛情が込められているからなのだと感じました。これからも魅力的な作品を楽しみにしています。川島さん、ありがとうございました!
botanical garden NUE
Mail:nue.sapporo.japan@gmail.com
Onlineshop:http://nue.thebase.in/