「デザインで人の夢をつくる」 ショップデザイナー 伊藤雄司さん

ハンモックに揺られながら、ゆったり過ごせるハンモックベースカフェ。

居心地が良いカウンターと木のぬくもりに癒されるイタリアン、ロロロッソ。

つい長居したくなる、そんな空間をデザインしているのは、ショップデザイナーの伊藤雄司さんです。伊藤さんが手掛ける空間は、優しいもの、あたたかいもの、楽しいもの、かっこいいものなどさまざま。ジャンルの枠を越えたデザインが施されています。

【自分の想いを表現するには。試行錯誤の日々】

イタリアン ロロロッソ
PHOTO by Tink 「イタリアン ロロロッソ」

伊藤さんは、店舗デザインや住宅リノベーションを専門とする、空間デザインショップ「Tink」の代表をされています。

元々は、服飾デザイナーの勉強をしていて、東京で店舗販売の仕事を2年間、それから25歳まで音楽活動をしていた伊藤さん。

「札幌に帰ってきて、電気工事屋を営んでいた親を手伝いながら、夜ジャズバーで歌っていました。だけど、26、7歳に、中島公園の雪道を歩いて、星が綺麗で…。その時に夢を追いかけるのを辞めようと決心しました。それから現実の世界で電気工事の方で働き始めました。初めから自分の根っこにあるのは、“感じたものを表現することで人が喜んでくれれば” という想い。今この仕事ができて、良かったと思ってます」。

シュシュラビ
PHOTO by Tink 「シュシュラビ」

 

取材中、何度も伊藤さんの口から溢れた“表現”という言葉。昔から、何か表現したくて仕方なかったといいます。

音楽をやっていた時に書いていた詩を、30歳の頃からまた書き始め、自分の内面の気持ちを多彩に書き記していたそう。UHBの「ロ・ヲ・ド・ク」という番組で伊藤さんの詩が読まれたことも。

「何か表現したい気持ちは、働きながら詩を書くことで紛らわしていました。でも、もっと何か表現したくてしょうがなくて、37歳の時、初めて自分で雑貨店をデザインしてつくったんです」。

tink⑥

雑貨店を始めて1年後、「お店をつくってくれないか?」と頼まれて、すすきのの地下のバーをデザインし、つくったのをキッカケに、店を経営する傍らショップデザインの仕事をするように。

「お店をつくると、そのお店の同業者の方が見て、『誰がつくったの?』ってなって。それから10坪とか12坪ぐらいのお店をつくるようになって…。雑貨店はそれからしばらくして辞めて、ショップデザインの仕事に一本化しました」。

【人のためにここにいれる。そう思えるのが嬉しい】

アロハララ
PHOTO by Tink 「アロハララ」

ショップデザインをするにあたり、今までの雑貨店をやっていた経験が活かされてると話す伊藤さん。

「ただデザインが良いということではなく、どんな人が入りやすいと感じてくれるのかや、以前雑貨店を経営していた時にナチュラル、モダン、アンティーク、ヴィンテージ…様々なジャンルのものを扱っていたので、真っ白い空間の中にアジアンなものとミッドセンチュリーなものって合うんだなとか、自分で分かるようになってきたんです。だから、お客さんの想いに沿ったお店がつくれる。今までの経験が、凄く役に立っています。」

たつみキッチン
PHOTO by Tink 「たつみキッチン」

仕事のやりがいは “喜んでくれるお客さんの顔” だと話してくれた伊藤さん。

「昔ダメな自分の時があって、人のことも屈折して見ている時がありました。そんな時、ふと、みんな人に当てにされているから走り続けているんだって気付いたんです。今お店をつくれて、自分を選んで貰って、『良かった、伊藤さんにお願いして』って言って貰える。それは人のために自分がここにいてもいいということに繋がるので、やっぱり嬉しいです。当てにされている以上、頑張んなきゃなって思います。」

【人それぞれの“素敵”を探して、見つめていく】

ラデュレ
PHOTO by Tink 「ラデュレ」

現在、伊藤さんは忙しい仕事の合間を縫って定期的に海外へ行かれています。そこで、より理解できることがあるそう。

「その土地で、そこの物を食べて、土地と気候、人に目を向けます。すると、そこで求められるお店の形って全部繋がってるんです。それを自分の目で理解するのに結構行ってますね。」

モンコジ
PHOTO by Tink 「モンコジ」

見たものや感じたものを蓄積して、引き出しを増やしていくことで、お客さんにとっての“素敵”を見つけられる。

「自分で自分のことをしようと思うとなんか動けないけど、人のためになにかしようと思うと、頑張ろうって思える。」という真っ直ぐな言葉が印象的でした。お店をデザインした後も、定期的に足を運んで人との繋がりを大切にされています。

デザインしたお店を見て連絡をしてくれる、そんな嬉しい“縁”もあるのだそう。伊藤さんのデザインや、あたたかい人柄にときめく人は多いです。

Tink②

取材中、好きな作家さんの作品を見せてくれたり、本を開いて、このデザイン素敵だよねと、笑顔いっぱいで話してくれた伊藤さん。

今回お話を聞けて、とても楽しかったです。私も素敵なものを素敵だと感じられる、素直な自分でいたいと思いました。伊藤さん、ありがとうございました!

Tink④

有限会社 ティンク

住所:札幌市南区澄川4条2丁目3-24 ジュエル1F

電話番号:011‐817‐4142

メール:tinkmain@gmail.com

ウェブサイト:http://tink.age.ac/

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