
目の前に広がる光景や、辺りに吹き抜ける風。その土地の匂い。そして、その場所で出会う人。今回ご紹介するのは、ゲストハウスオーナーの佐々木壮一さんです。
ゲストハウスは宿泊費が安く、旅人同士が情報交換をしたり、思い出を共有できる場所。佐々木さんも実際に海外を歩き、旅人として多くのゲストハウスを訪れてきました。「旅の体験は、自分だけのもの。ずっと心に残り続ける」と笑顔で話してくれました。
【“旅人”からゲストハウスの経営へ】
ある時からゲストハウス経営を考え始めた佐々木さんが夢を叶えたのは2014年のこと。中学校からの同級生で親友の大畑さんと、札幌中心部に「SOCIAL HOSTEL 365」を立ち上げます。
事業を始めたばかりの頃はとにかく全部大変だったといいます。初めは出来ないと言われていたことを、一個ずつ問題を解決して、諦めないことをとにかく徹底したと話してくれました。

その後2016年8月には、女性ひとりでも気軽に泊まれる古民家ゲストハウス「IGLOO」、2017年2月にはサンドイッチとゲストハウスのお店、「めざましサンド店」をオープン。今でも自分たちが面白いと感じることに軸を置いて、走り続けています。
【バックパッカーとして、アジアを冒険】

佐々木さんが海外へ初めてひとり旅をしたのは19歳の時。東京でしていた音楽活動をやめて、未知の世界である海外へ飛び出します。
当時向かったのは、タイや中国、ネパール、インド、チベットなど、半年かけて飛行機を使わずに旅を続けていたそう。私は心配性なので想像しただけで足がすくんでしまいますが、そんな私とは対照的に、旅の話をする佐々木さんの表情は、とても穏やかで楽しそう。初めての旅はとにかく刺激的だったと話してくれました。
「ずっと日本で育ってきたので、違う星に来たような印象を受けました。言葉は通じないし、周りは海外の人ばかりで。東南アジアは貧しい地域もありますが、そこに世界中から集まっている旅人達がいました。どこへ行っても自分が最年少でしたが、おじいちゃんや大学生、社会人を辞めたという人までいて、それぞれが医者やプログラマーなど、母国で肩書を持っていた方ばかりでした。
だけど、旅に出ればみんなただの“旅人”で、不思議と仲良くなるんです。どこから来たの?から始まって、友達になって、一緒に飲みに行こうよとか。色々な人達と語り、現地の光景を見てきて、今まで自分が生きてきた世界がいかに狭かったのか思い知りました。半年ほどで日本へ帰ってきましたが、3年ぐらい旅をしていたような気持ちでした」。
国が違うならルールも違う。それを実際に目で見て、肌で感じてきた佐々木さん。旅を通じて自分の価値観が大きく変わったといいます。旅の感覚を忘れたくなくて、帰国後またすぐにお金を貯めたそう。22歳の時にまた海外へと飛び出します。
東南アジアをまわった後、海外での暮らしを経験したくてワーキングホリデーを利用しオーストラリアへ。10ヶ月定住した後、札幌へ戻ることに。
【旅を通じて、北海道に根差した仕事を】

帰国後、オーストラリアと似た空気を北海道に感じたという佐々木さん。
「北海道も大自然があってのんびりしているし、海も山も川も近くにあるし、ご飯は新鮮で美味しい。その時、北海道ってアジアの中でも過ごしやすいんじゃないかなと思いました。北海道に根差した仕事、何かできないかな。旅に関わる何かを。その辺りから、旅に関わる仕事を考え始めました」。
ゲストハウスをつくろうと気持ちが固まったのは26歳の時。親友の大畑さんと一緒に、お金を貯めて自分たちでつくっていくことを決めます。

事業を始めて約3年。今までと変わらず、自分たちが面白いと思っていることを今後も続けていきたいと話してくれました。
佐々木さんたちがこれからの仕事で考えているのはバス事業。バスツアーを企画し、各地のゲストハウスをまわって相乗りをして、北海道の観光をしていくというもの。聞いているだけでわくわくするような佐々木さんの話。原点ともいえる“旅”のどんなところが好きなのか聞いてみました。
「旅はとにかく刺激があります。物は買ったら壊れるし、無くなったりしますが、旅で見たものや感じたものは、無くならない。自分だけのもの。旅の体験は、栄養みたいに自分の中で蓄積されていくんです。旅は自分にとってプラスでしかない。そんな存在です」。
話を聞いていて、私自身も旅へ行ってみたくなりました。
佐々木さん、ありがとうございました!
佐々木さんたちが経営されているゲストハウスの情報はこちらからご覧いただけます。
【SOCIAL HOSTEL 365】 HP:http://socialhostel365.com
【IGLOO】 HP:http://ig-loo.com/
【めざましサンド店】 HP:http://mezamashi-sandwich.com/